システム型方程式に対する代数的マルチグリッド法の改良(文献紹介)

担当:松岡 栄光
題目:システム型方程式に対する代数的マルチグリッド法の改良(文献紹介)

概要:
 大規模疎行列を係数行列とするような線形方程式は,科学技術計算の様々な場面で現れる.線形方程式の解法として,ガウスザイデル法や共役勾配法などが古典的なものとして知られているが,収束に必要な反復回数が問題規模に依存するため,大規模問題の解法としては適していない.
 反復回数が問題規模に依存しない(スケーラブルな)解法として,マルチグリッド法が知られている.代数的マルチグリッド法と呼ばれる手法は,広いクラスの問題に適用できる比較的スケーラブルなアルゴリズムである.しかし,システム型方程式(1つの節点に複数の自由度がありそれが連成しているような方程式)から生じるような線形方程式に対してはスケーラビリティが悪くなることがある.これは,Ae~0となるような誤差成分eを,補間行列が上手く移せないことが原因であると考えられる.
 本論文では,補間の演算子を改良し,カーネルの元を正確に移せるようにすることで,スケーラビリティが向上することを数値実験によって示す.また,既存手法を用いた場合の問題点として,異方性問題では非ゼロ要素数が増大する傾向にあることが知られている.提案手法では,より非ゼロ要素が少なくなるような補間行列を生成する工夫も施されている.

参考文献:
[1] Michael W. Gee, Jonathan J. Hu and Raymond S. Tuminaro, A new smoothed aggregation multigrid method for anisotropic prob
lems. Numerical Linear Algebra With Applications, vol. 16(2009), pp. 19-37.