数理情報第3研輪講

日時
2012年6月20日(水), 15:00〜17:00.
場所
東京大学 工学部6号館 238号室.
講演者
中村 友哉(M2)
題目
Wiener空間上のcubature公式による確率微分方程式の高次弱近似(文献紹介)
概要

確率微分方程式とは、端的にいうとランダムな揺らぎの項を含む常微分方程式のことである。 確率微分方程式は、物理やファイナンスなどの広い分野において、揺らぎを伴いながら時間発展するモデルを記述するために用いられる。 応用においては、解である確率過程そのものではなく、 期待値のみが必要となる場合が多い。この期待値に対する近似のことを、確率微分方程式の弱近似という。
本発表では、LyonsとVictoirにより[1]で提案された高次の弱近似アルゴリズムを紹介する。 期待値は、無限次元空間であるWiener空間上の積分として表現される。 一方、有限次元空間上の数値積分アルゴリズムの枠組みとして、cubature公式というものが存在する。 [1]は、 このcubature公式をWiener空間に対して定義し、具体的なアルゴリズムを構成した。また、 Wiener空間上のcubature公式が、高次の弱近似アルゴリズムとなっていることを示した。

参考文献

[1] T. Lyons and N. Victoir. Cubature on Wiener Space. Proceedings of the Royal Society of London. Series A. Mathematical and Physical Sciences, Vol. 460, pp. 169--198, 2004.

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