数理情報第3研輪講

日時
2011年5月17日(火), 17:00〜19:00.
場所
東京大学 工学部6号館 235号室.
講演者
井町 宏人(M2)
題目
Adaptive Learning in Financial Markets (文献紹介)
概要

Grossman and Stiglitz[1]は, リスク資産の配当に関する情報を一定のコストを払って得ることを選択できる状況下における市場の効率性について分析した. 情報を得ないことを選んだ市場参加者は,期末に取引の結果として決定されるリスク資産の価格から, 情報を得ることを選んだ参加者が得た情報の一部を推測することができ,情報を得ることを選んだ参加者の割合が高いほどこの推測が容易になることと情報のコストから, 市場には情報を得るか得ないかに関する均衡が生じる. Grossman and Stiglitz(GS)モデルは価格の情報を伝達する役割を表現する自然なモデルであるが, 扱っているのは均衡の存在についてのみであり, 市場参加者が資産価格と情報の関係について学習を行い, 市場が均衡に収束する(あるいはしない)具体的過程を論じているわけではない. 紹介論文[2]ではGSモデルの繰り返し版を考え, 個々の市場参加者の学習がもたらす結果を市場参加者に採用されている戦略の割合の時間発展として記述し, 均衡へ収束するための条件を示す.

参考文献

[1]Grossman, S. J and J. E. Stiglitz: On the Impossibility of Informationally Efficient Markets. American Economic Review, vol. 70(1980), pp.393-408.
[2]Routledge, B. R: Adaptive Learning in Financial Markets. The Review of Financial Studies, vol.12, no.5(1999), pp.1165-1202.

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