数理情報第3研輪講

日時
2010年6月8日(火), 17:15〜19:00.
場所
東京大学 工学部6号館 235号室.
講演者
塚本 昌也(M2)
題目
多重格子法および多重格子法前処理付き共役勾配法の紹介(文献紹介)
概要

楕円型偏微分方程式の離散化により生じた連立1次方程式の高速解法として,多重格子法がある.Gauss-Seidel法などの古典的な定常反復法は,誤差の波長が格子幅と同程度に短い成分,すなわち空間的高周波成分を速く減衰させる性質をもつ.この性質に着目し,元の格子よりも粗い格子における定常反復法を用いることで全ての周波数成分を高速に減衰させる手法が多重格子法である.多重格子法は,元の楕円型偏微分方程式の係数が大きく変動するなど複雑な問題では収束が安定しないことがあるが,その対策として多重格子法を単独ではなく共役勾配法の前処理として用いるという手法がある. 本発表では,多重格子法および多重格子法前処理付き共役勾配法について説明し,それらを地下水流れの問題に適用した論文を紹介する.紹介論文では,境界条件や問題サイズ,土壌の非均質性など諸条件を変化させ,各手法で要した反復回数と計算時間を比較している.

参考文献

[1] William L. Briggs, Van Emden Henson, and Steve F. McCormick: A Multigrid Tutorial Second Edition, SIAM, 2000.
[2] Ashby S. F. and Falgout R. D.: A parallel multigrid preconditioned conjugate gradient algorithm for groundwater flow simulations, Nuclear Science and Engineering, 124(1996):pp.145-159.

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