数理情報第3研輪講

日時
2010年5月18日(火), 17:15〜19:00.
場所
東京大学 工学部6号館 235号室.
講演者
鵜島 崇(M2)
題目
Optimal recoveryに基づいた最適な関数近似法について(文献紹介)
概要

近似理論の多くの問題は,optimal recoveryの問題として捉えることが出来る.optimal recoveryとは,関数に対する作用素を,関数の離散値の情報を上手く組み合わせて近似して,誤差を最小化したいという問題であり,関数近似や定積分近似などの問題を含んでいる.今回紹介する論文[1]では,帯状領域で有界な解析関数に対する関数近似法として最適な方法が,optimal recoveryの考え方を用いて理論的に与えられており,本発表ではまず,optimal recoveryの概念とその関数近似法について述べる.
また,この関数近似法は,ヤコビの楕円関数を用いたやや複雑な形をしているが,関数近似法として有名なSinc法が適用できない関数クラスを対象とすることができる.関数近似における変数変換などへの応用を展望し,本発表では更に,無限和で表されている紹介論文の結果を,有限項で打ち切った近似法の誤差について考え,その方法とSinc法とで,誤差の大きさにどのような差異があるのかを理論的,数値的に検証する.更には,定積分近似への応用例についても述べ,台形公式との比較も行う.

参考文献

[1] K. Yu. Osipenko: On n-widths, optimal quadrature formulas, and optimal recovery of functions analytic in a strip. Russian Acad. Sci. Izv. Math., 45 (1995), pp. 55-78.

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