数理情報第3研輪講

日時
2009年6月23日(火), 15:00〜17:00.
場所
東京大学 工学部6号館 235号室.
講演者
見並 良治(M2)
題目
limit order marketにおける価格形成の力学モデル (文献紹介)
概要

 近年の証券取引所の電子化・国際競争激化の流れを受け,世界の主要取引所は流動性の高い証券の取引に際してオーダードリブン方式・連続取引オークションを採用する傾向にある.このような方式で取引される市場をlimit order market と呼ぶ.
 limit order marketにおける価格形成メカニズムは,これまでにもオークション理論,マーケットマイクロストラクチャー理論,マルチエージェントシステム,人工知能などといった多様な学問領域で研究されてきたが,対象となる系がかなり複雑であるため,現状において満足のいく結果は得られていない.
 そのような中,最近になって統計力学的な手法によるアプローチが盛んになされている.本発表ではそれらの中でも代表的なものとして,Daniels,Smith,Farmerら[1][2]によるPoisson過程に従うランダムな売りと買いの注文が出された場合の価格形成の力学モデルの研究を紹介する.

参考文献

[1] Daniels, M. G., Farmer, J. D., Iori, G. & Smith, E.: Quantitative Model of Price Diffusion and Market Friction Based on Trading as a Mechanistic Random Process, Phys. Rev. Lett. 90, 2003.
[2] Smith, E., Farmer, J. D., Gillemot, L. & Krishnamurthy, S.: Statistical theory of the continuous double auction, Quant. Finance 3, 481-514, 2003.

3研輪講スケジュールへ

3研のホームページへ