有限精度下で生じる非適切性とその対処

担当:越本 浩央

題目:有限精度下で生じる非適切性とその対処

概要:
数値的に実数を扱う場合,その表現は有限精度の制約を受け,真の解析的な値からは僅かながら異なる値となることがある.それら有限精度の数に対する演算は誤差を生み,一連の計算を通すことで,時として所望の近似値から逸脱した振舞いを見せる[1].
特に非線形問題や特異摂動問題において,これらの数値誤差は大きな影響があり,解析的には適切であるような問題が,数値的には非適切となる場合もある.
本発表では,誤差の蓄積を低減するKahanの手法[2]などを援用し,有限精度下で非適切となった問題に対するTikhonov正則化[3]を述べる.

参考文献:
[1] Goldberg, D. (1991). What every computer scientist should know about floating-point arithmetic. ACM Computing Surveys (CSUR), 23(1), 5-48.
[2] W. Kahan. 1965. Pracniques: further remarks on reducing truncation errors. Commun. ACM 8, 1 (January 1965), 40-.
[3] Tikhonov, A. N. (1995). Numerical Methods for the Solution of Ill-Posed Problems (Vol. 328). Springer Science & Business Media.