マルチグリッド法による大規模疎問題の解法(研究紹介)

松岡 栄光
2015/1/7 (水), 15:00-17:00
東京大学 工学部6号館 235号室

 大規模疎行列を係数行列とするような線形方程式は,科学技術計算の様々な場面で現れる.線形方程式の代表的な解法として知られるガウスザイデル法や共役勾配法はそれぞれ,低周波数の誤差を減衰させにくい[1],反復回数が問題規模に依存する,という欠点を抱えている.
 マルチグリッド法はこれらの問題点を解消するような,線形方程式の解法である.マルチグリッド法には,異なる領域分割を再帰的に構成する幾何的マルチグリッドと,行列の情報のみを用いる代数的マルチグリッドがある.代数的マルチグリッドは幾何的マルチグリッドより広いクラスの問題に対して有効であるが,領域分割を上手く行わないと収束が遅くなってしまう[2].
 本発表では,これらのアルゴリズムについて説明した後,どのような問題に対して幾何的,代数的マルチグリッドが有効なのか,また有効でないのかを,数値実験にて紹介する.

参考文献
[1]William L. Briggs, Van Emden Henson, Steve F. McCormick. A multigrid tutorial. SIAM, 2000.
[2]藤井 昭宏, 西田 晃, 小柳 義夫. 領域分割による並列AMGアルゴリズム. 情報処理学会論文誌:コンピューティングシステム, Vol. 44, No. 6, pp. 9–17. 2003.