ウェーブレットと特異摂動の数値計算

越本 浩央
2014/10/29 (水), 15:00-17:00
東京大学 工学部6号館 235号室

 Fourier級数による関数の近似が周波数成分の分解であるのに対し、ウェーブレットに基
づく近似は位置と周波数を同時に分解する。これはウェーブレットから作られる基底が位
置について直交性を有するためであり、さらに適当なスケーリングを施すことによって多
重解像度への分解が可能となる。
 信号処理や画像解析ではこのウェーブレットの特徴を利用することで、情報を局在化・多
重解像度化して扱うことに成功している。またGalerkin法にウェーブレットを用いること
で、(偏)微分方程式もまた多重解像度での解析が可能となる[1]。
 本発表では、発表者が関心を持つ特異摂動の数値計算において、摂動展開するスケール毎
の離散化とウェーブレットの関連について述べる。

参考文献
[1] Dahmen, Wolfgang. “Wavelet and multiscale methods for operator equations.”
Acta numerica 6 (1997): 55-228.